「やさしいいばしょ」では、若者たちがそれぞれのペースでつながれる「安心できる場」を、対話を通して育てています。今回は、長崎県内で多様な背景をもつ人たちと向き合いながら、若者がありたいようにあれる地域を創ることを目指しているNG会の大賀さんにお話を伺いました。
活動の始まり、名前に込めた想い、そしてこれからのことまで。丁寧に語っていただいた言葉をお届けします。
はじまりの違和感から、NG会は生まれた
NG会は、どのようなきっかけや問題意識から始まったのでしょうか?
活動の背景についてお聞かせください。
一番最初のきっかけは、一人で頑張りつづけることに苦しさを感じたことでした。
大学卒業後、私は長崎に移住し、公務員として働き始めましたが、その一方で、仕事とは別に、自分の夢に向かって勉強や活動を続けていました。ただ、一人で頑張るのは正直つらくて。「なんでこんなことをやっているんだろう」「ただ公務員の仕事をしていれば、それでいいんじゃないか」──そんな思いを抱くことも多くありました。
まだやりたいことを職業にできているわけではないし、何かがはっきりとできるわけでもない。けれど、それでも「これまでどんなふうに生きてきたのか」「これから何をしたいのか」といったことを、せめて同世代の仲間どうしで知っていれば、助け合えることもあるんじゃないか。そんな思いから、友人を誘って小さな会を開いたのが、NG会の始まりです。
今では、学生や会社員、フリーランス、音楽関係者など、さまざまな背景を持つ長崎の20代、12名ほどが集まる団体になりました。
「NG会」——名前が語るもの
団体名には、名付けた方の思いや、意味づけが込められていることも多いと思います。
「NG会」という名前には、どのような由来や願いがあるのでしょうか?
「NG会」という名前は、New Generation(次世代)の頭文字から取ったものです。
長崎では、すでに地域で活躍している私達より少し上の世代の方々がいて、「平和といえばこの人」「コミュニティといえばこの人」というように存在感を持っています。一方、私たちはまだ発展途上の20代。実力も収入も、まだ十分ではないことも多いのが現実です。
そんな私たちが、一歩ずつ実績を積み重ねながら、いつか「ありたい自分」でいられるように。その過程を、ゆるやかに支え合えるように。そうした願いを、この名前に込めました。

誰かがほっと息をつける、そのために
関わる人たちが「安心できる」と感じられる場づくりのために、日々心がけていることや工夫していることがあれば教えてください。
「いつでも来てもいいし、来なくてもいい場所」というのは心がけています。
NG会はだいたい月に2回ほど集まっていますが、特に出欠をとったりはしていないんです。だから、たまに料理つくって準備万端だったのに誰も来なかった!なんてことも(笑)
でも、私としては、行かなきゃいけない場所や、しばらく顔を出さないと気まずくなってしまうような場所って、どこか窮屈な感じがするんです。だからこそ、久しぶりでもふらっと来られて、来なくても責められない。そんな、ゆるい運営を心がけています。
もう一つ、大切にしているのは、「その人自身の語り」をちゃんと聴くことです。
NG会の根底にある活動として、自分のこれまでの歩みや、これからの夢について語ってもらうというものがあります。その会では、毎回ひとりが語り手となり、なぜその夢にたどり着いたのか、何に悩み、どんなことを乗り越えてきたのか—そうしたライフヒストリーを、自分の言葉で話してもらいます。
その中では、「こんなことをやってきた」というかっこいい実績だけでなく、親との関係に悩んできたことや、いじめられた経験、セクシュアルマイノリティとして感じてきた生きづらさなど、普段人には見せない部分が語られることもあります。
そんな弱さや迷い、痛みも含めて、その人の語りに耳を傾けること。それが、私たちが何より大切にしていることです。

この先に、見てみたい景色
これまでの歩みのなかで見えてきた新たな可能性や、今後チャレンジしてみたいことについても聞いてみました。
NG会ができたことで、私自身にとっても心のよりどころのような存在が生まれました。誰かの語りに励まされたり、自分の思いを受けとめてもらえたりする時間が、日々の支えになっています。
だからこそ、協力したり、面白がったりしながら、メンバーといっしょになにかができるような仕組みをつくりたいと思うようになりました。誰かのやりたいことに共感して、ふと手を貸したくなるような、そんな流れが生まれる関係性を育てていけたらと思っています。
また、今は定期的な集まりとして運営していますが、いつかはNG会としてリアルな拠点を持てればという夢もあります。ふらっと立ち寄った学生や大人がNG会の人々の持つ熱や空気に触れて、「自分も何かやってみようかな」と思えたり、何か理不尽な目にあったときに逃げ込めたり。そんな場所を作ることを妄想しています。
「自分らしくいていい」と、互いに思えるような関係を
居場所や対話のなかで、ふとこぼれる「こんな自分でも、ここにいていいのかな」という声。NG会では、そんな気持ちにどう寄り添い、関係を育てているのでしょうか。
NG会では、うまくいったことだけじゃなくて、頑張れなかったことや、迷ったこと、反省していることも話してもらうことを大事にしています。だからこそ、その話をどう受けとめるかはすごく大切だなと感じています。
「正しさ」や「アドバイス」をもとめるのではなく、ただ興味をもって耳を傾けること。頑張れなかった過去や、まだうまく言語化できない感情も、ありのままに話せること。それだけで、その人にとって安心できる時間になることがあると思っています。
「居場所」は、日常のとなりにある
居場所とは、特別な空間ではなく、ふとした瞬間に寄り添う存在なのかもしれません。
その意義や可能性について、大賀さんに伺いました。
夢を追うことやこうありたいと願うことは、時に孤独です。私も移住したばかりの時は、ずっと一人でファイティングポーズをとっているようか感覚がありました。でも、自分が今頑張っていること、悩んでいること、あがいていることを知っている仲間がいれば、きっと力になるし、うまくいかない今ごと、自分の一部として大事に思える気がするんです。
NG会の活動がそんなきっかけのひとつになればとても嬉しいと思っています。

おわりに
まっすぐじゃない人生を、まっすぐじゃないまま、大事にできる場所。
「NG会」という名前には、そんな風に誰かの「今」を受けとめる優しさが、そっと込められているように感じました。 大賀さん、このたびは心のこもったお話を本当にありがとうございました。やさしいいばしょ一同、NG会さんのこれからの歩みを心より応援しています。