「やさしいいばしょ」では、多様な生きづらさを抱える若者たちが出会い、安心できる場を育てていく活動を続けています。今回は、長崎県を拠点に発達障害やグレーゾーンの悩みに寄り添い、対話と支援の現場をつくってきた NPO法人 発達障がいお悩み預り所かぎしっぽ さんにお話を伺いました。
団体名の由来に込めた思いとは?
まず気になるのは、「かぎしっぽ」という印象的な団体名の由来。この団体名に込められた想いについて教えてください。
由来は長崎に多い、しっぽの先が曲がった「かぎしっぽねこ」です。しっぽの先が釣り針のように鉤になっており、ここにモノを引っかけて倒してしまうなど「問題児」と言われてきました。しかしながら、そのしっぽの先に幸せを引っかけると縁起を担ぐ人が現れて愛される存在になりました。発達障がい児・者も問題児と言われてしまうことも多いですが、良い面を探す目線でその子らしさを見つけることにより、当事者だけでなく周りも生きやすくなるという願いを込めています。

安心できる環境づくりで心がけていること
発達障がいやグレーゾーンにある方が、安心して話せる・過ごせる環境をつくることは簡単ではありません。かぎしっぽさんが日々大切にされているのはどんなことなのでしょうか?
本人だけでなく保護者や学校の先生などに対するサポートを大切にしていることがうちの法人の珍しい点です。これにより周りの大人の不安を減らして家庭や学校を柔らかくすることで社会全体を生きやすくしたいと活動しています。スターバックスさんと隔月でコラボして相談会をしている中で共感してくださる方が増えていることを感じています。

今後の展望と、これから挑戦したいこと
これまで多くの利用者と関わってこられた中で、今後やってみたいことや挑戦したいことについて教えてください。
発達障がいの子にもやさしいお店をまとめた「発達ミシュニャンガイド」を作っており、スタッフが直接訪問して交渉して載せているので太鼓判を推せるお店を載せています。その反面、うちのスタッフの人手が不足しているので少しずつ広げたり深めたりしたいと思っています。

「自分らしくいていい」と思える関わりとは?
支援の現場では、ただ話を聞くだけではなく、「自分らしくいることを肯定できる」ような対話が求められます。かぎしっぽさんが特に意識されているのはどういったことでしょうか?
発達障がいという名前の「障害」という言葉は、発達障がいの方々が社会からの壁(障害)を感じているという意味です。授業は45分間座っておくもの、あらゆることに対して一定程度できないと自立していないと言われてしまうなど現代社会の「当たり前」の範囲が狭くなりほとんどみんなが背伸びしている気がしています。そんな中では苦手なことが少しあるだけでもはみ出しものと言われてしまうので、長所にも着目してもっとお互いで補い合えるような相互理解が深まった社会になる一助になればと思って活動しています。
「居場所」がもつ力と可能性
最後に、「居場所」という言葉に込める思いや、その可能性についてどのような想いを持っておられるか教えてください。
現代はひととひととの繋がりが薄れていて生きにくい時代とも言われます。そんな中で家、学校または職場、以外の第3の居場所があることでこころの余裕ができやすいのではないかなと思っています。子どもは親だけが育てるものでもなく、学校だけで教育するものでもなく、昔ながらの近所のおじちゃん、おばちゃんのように地域で育てる社会に戻れば発達障がいによる困りごとも減るのではないかなと思っています。

終わりに
NPO法人 発達障がいお悩み預り所かぎしっぽさんにお話をお聞きしました。そのままの誰かを受け入れ、そっと寄り添う。そんな優しさが、これからも多くの人の希望になっていくのではないかと思いました。
今回は、お忙しい中お時間をいただき、丁寧にお話を聞かせてくださり、本当にありがとうございました。 NPO法人 発達障がいお悩み預り所かぎしっぽ さんのこれからのご活動を、やさしいいばしょ一同、心から応援しています。