やさしいいばしょ編集部です。この度、社会福祉法人ながよ光彩会の理事である貞松さんにインタビューをさせていただきました。
貞松さんのプロフィール
社会福祉法人ながよ光彩会の理事をしています。長崎県出身の理学療法士です。
バックパッカーとして世界各国を巡った経験もあります。現在は長与町を拠点として活動しています。
貞松さんへのインタビュー
長与町で社会福祉法人ながよ光彩会の理事として地域の人たちのことを考えて活動している貞松さん。どのようなことが活動のきっかけになったのか、貞松さんにとっての居場所とはどのような場所かなど貞松さんにたくさんお話を聞いてきましたので、その内容をみなさんにお届けします!
活動を始めたきっかけは?
やさしい いばしょ:活動を始めたきっかけを教えてください。
貞松さん:20歳の時に理学療法士になりました。なので、医療、福祉の世界には社会人1年目から従事していました。その後、25、6歳の時にバックパッカーとして、オセアニアとかアジアなどをまわりました。

やさしい いばしょ:旅をされていたのですね。
貞松さん:その中で、特にインドが印象的でした。ストリートで生活している子どもたちがかなりの数いることに気づいたんですよ。路上生活をしている人の中には、子どもたちが自分の親に手首を切られて、旅行者からお金を恵んでもらい、それが家庭の生活費に変わっていくっていうようなことがあるんです。
やさしい いばしょ:なるほど…衝撃的です…
貞松さん:その現実を目の当たりにして、自分が「日本で生まれた」ということはすごく価値があったことなのだと実感しました。アジアとかをまわる前までは、給料が上がらないとか、そのようなことに不満を感じていたんですが、そのような悩みがある中でも、自分がいかに守られているかということに気付かされました。エアコンが効いた中で、社会保障に守られて、理学療法士をしてさせてもらっている自分。これが当たり前ではないんだと。日常に感謝できるようになりました。その「当たり前ではない」という感覚が、今の活動のきっかけになったと思っています。
どのような想いで活動しているの?
やさしい いばしょ:活動を始めるきっかけに近いかもしれませんが、現在、いろんな活動をされてる中で、どのような想いを大切に活動していますか?
貞松さん:最初に理学療法士としての活動を始めた場所は沖縄でした。当時20歳の自分は、沖縄でヨット乗りのおじちゃんたちに出会ったんです。当時20歳の自分に対して、60代、70代のおじちゃんたちがいろんなお話をしてくださって。
やさしい いばしょ:いいですね。地域の人と話すのは楽しいですよね。
貞松さん:おじちゃんたちは、自分のこれまでやってきたことを話してくれました。40も歳が離れた自分をワクワクさせてくれたんです。今まで、倍以上としが離れている人の話を聞いてワクワクしたことがあまりなかったから、新鮮でした。この出会いによって、自分はこれからも理学療法士として、病院という箱の中で働いて、「60になった自分は若い子たちをワクワクさせられるのか?」と思うようになりました。それがきっかけで、自分はいつかそんなおじちゃんたちみたいになりたいって思ったんですよね。要は「 頼られる人」とか、「相談したいと思う相手」とか、そんな大人になりたいなっていうのが今でも根底にあります。

やさしい いばしょ:素敵ですね。周りの人との対話で、自分の基礎となる価値観や将来を築いていくって改めて素敵なことだと思いました。
貞松さん:ありがとうございます。目の前の人に何ができるだろうっていうのが、きっと好きなんだと思います。ビッグデータを基に「何%が貧困で」とか数字データにすると、あんまり自分ごとにならない感覚があるんです。それよりもね、100人のうち99人が困ってないにしても、100人の1人が困っているんだったら、その人に対してできることは何かって考えることや、実行するのが好きなので、「福祉」を続けられているなと思っています。
やさしい いばしょ:テキストベースの学びでは得られない、現場で活動しているからこそ聞けるお話だなと思いました。福祉に対しての思いも変わりますね。

貞松さん:教科書では学べないですよね。「両育わーるど」っていう、東京都の職員さんが自分たちで協力してやっているNPOが素敵なポスターを作っているので紹介させてください。「日本では100人に1人が自閉症です」というような書き方がされても心は揺さぶられませんが、そのポスターには「何分の」の上に、当事者の写真があって。そんなポスターを見て、教科書で見るテキストからとは全然違う印象を受けました。

貞松さん:「自閉症」を取り上げると、自分の会社には60名程度の職員がいて、その職員の方々にも家族がいます。なので、割合的に行くと、「うちのスタッフのすぐ近くにも自閉症の人たちが2、3人いるんだ」っていうように「自分ごと」「お隣ごと」に感じられるようになったんです。
だからこそ、地域のためにという感覚はなく、会社で働いている人たちのことを知って、その職員が困っていることとかがあれば、それに対して何ができるかっていうようなことを実行することが職場環境にとってもいいと思っています。本気で立ち向かうことが、結果的に社会のためにもロールモデルにもなる。だったら、とことん会社に向き合うということが「社会を変える」ということにつながると思っています。

やさしい いばしょ:いいですね。実際、長崎に住んで活動する中で、長与町から社会が変わっているような気がします。
貞松さん:「社会」と「会社」、文字の順番が違うだけですから、「会社が変われば社会が変わる」になる。そして、それを全ての経営者たちがその思い持ってくれたら、おそらく日本中が優しくなると思うんですよね。
実現したい社会とは
やさしい いばしょ:貞松さんは、「会社が変われば社会が変わる」になるとお話ししてくださいました。会社が変わり、どのような社会が実現されるといいなと思いますか?
貞松さん:実現したい社会ですか。正直自分には、社会を変えるぐらいの力はないと思うんです。きっと社会は、自分よりも頭のいい政治家などが設計してくれるものなんだと思います。その国を支える人が、地域の活動とか思いを一生懸命汲み取ろうとしてくれるようになってくれればいいなと思っています。
やさしい いばしょ:国を支える人たちが地域のことを知ることは、とても大切ですよね。
貞松さん:3万9500人っていうどこにでもあるような町で、 従業員を60人程度しか抱えてないとっても小さな社会福祉法人。 そんな私たちが、高齢者福祉事業だけじゃなくて、駅の無人駅課題に対してとか、いろんなことに取り組めています。このような地域が望むコミュニティスペースの運営に取り組む理由は、公益事業というような形で社会に還元していきたいと思っているからです。
答えになっているかわかりませんが、いろんな人に「ここまでやれるんだ」と思ってもらえるような活動をしていきたいんです。「自分のところでもやれる」って思える社会。なので、「等身大」に感じてくれるようなこと、たくさんの人が真似してくれるようなロールモデルを長与町から発信し続けたいです。

やさしい いばしょ:真似して貞松さんがされているような活動、同じような想いを持った人たちがどんどん増えていって、地域から変えていけば、社会が変わっていくと思います。
貞松さんにとっての居場所とは?
やさしい いばしょ:貞松さんはいろんな活動をされていて、それぞれがいろんな人にとっての居場所になっていると思います。そんな様々な居場所を作っている貞松さんにとっての「いばしょ」はどのような場所ですか?
貞松さん:居場所か〜。うーん…。心地いいと思う場所…屋根のないたき火を囲んでいる場所が1番心地いいですね。自分にとって「心が整う場所」が居場所なんだと思います。

やさしい いばしょ:心が整う場所、いいですね。
貞松さん:逆に窮屈だと感じる場所は、理事長室ですね。四方を壁に囲まれた窮屈な空間で、しかも自分に会うためにドアをノックして入ってこなきゃいけない。というか、誰も来てくれない…!そういう場所は、寂しいんですよね。だから「み館」を作ったんです。「み館」では、理事長が普段の業務をやってもいいし、他のスタッフが遊びに来てもいいし、地域の子供たちがいてもいいし。そんな場所になっています。
やさしい いばしょ:「なんか好き」だったり「心地いいな」って感覚、大切ですよね。
貞松さん:理事長室だけではなく、「理事長」という肩書きもたまに窮屈なんですよね。理事長って聞くとちょっと緊張してしまうというか。職員の方々には「聞いてくださいよ〜」みたいなラフな感じで関わって欲しいです!対話の中でアイディアが生まれることや自分の頭の中が整理されることもありますから、そういう会話を大切にしたいです。

やさしい いばしょ:なるほど、肩書きでコミュニケーションがしにくくなるのは悲しいですね…いろんな人と話すからこそ生まれるアイディア、話したからこそ気づくニーズなどありますしね。
貞松さん:そうなんですよ。自分の場合、人がいる空間が好きなのかもしれませんね。人がいる。声が聞こえる。ただ、そのような場所に「ルールがありすぎるのは嫌だな」なんて思います。これやっちゃいけない・あれをやっちゃいけないってなんか壁に貼り紙されてるような…
やさしい いばしょ:わかります!そういうものもなんだか窮屈で苦しくなってしまいますよね。
貞松さん:心を許して話せる相手がいる場所がいいですね。あと、お酒があればもっといいですね(笑)
やさしい いばしょ:大事ですよね。ふふ、お酒好きだとそれも大切な要素ですよね。
最後に
今回は、福祉の視点を大切にして活動されている貞松さんにインタビューをさせていただきました。貞松さん、ありがとうございました。
社会福祉法人ながよ光彩会さんでは、今回の記事で取り上げきれなかった取り組みがたくさんあります。取り組みについては、見学した感想を含め次回の記事でお伝えしますね!お楽しみに!

やさしいいばしょは、これからも「誰かにとってのやさしいいばしょ」を作る方にインタビューをして、みなさんにお届けしていきます!最後まで読んでいただきありがとうございました。